2009年5月28日木曜日

絵日記で、I love my mom. (1年生9月)




 入学二ヶ月目に突入すると、リーディングと平行してライティングも始まる。まだアルファベットのRainbow Writingが"Z"まで行っていないのだが、お構いなしである。
 
 まず Jurnal』という絵日記のノートが個々に配られ、朝、学校に行くとみんな絵日記を書かされる。もちろん、この段階で絵だけ描いている子もいる。しかし、先生からは、Kinderは単語2から3個、1st の子は少なくとも2センテンス書いてね~”と言われる。そこで、皆、お約束のように、"i love my mom"と書いたりする。文章を書くのにあたり、一番最初に習うことは、やはり、書き出し大文字、文末ピリオド、だ。 従って"I love my mom."と直される。でも、内容はとりあえずこんなものでいいらしい。
 
 ライティングに関しての私の印象だが、想像以上に文章が書ける子って少ないなぁ、というものだった。アメリカで生まれ育った子は、もちろんスピーキングはばっちりなのだが、やはり、読み書きとなると違う。しゃべる時、発音的に繋がっているからか、文章にした時、aとかan、theや単語末のsがしっかり書ける子は結構少ない。
 が、ここはアメリカと言うべきか。順序だてて、ということがない。いきなり読め!書け!である。今後、特に小学4年から難しい社会や理科の資料を沢山読まされてレポートを書かされるので、それに備えて1年生から読み書きを体で覚えさせているのではないだろうか。よく聞く言葉だが、アメリカの小学校は 3rd Gradeまでは読むことを学ぶが、4thからは学ぶために読む と言われている。

 しかし、先生も頭ごなしに"書け”と言ってるだけでなく、それなりに努力や工夫をしてくれている。写真のものは、『Jurnal』で皆がよく使う単語がアルファベット順で並べられていて、ポケットの中に単語カードが入っているものである。 (教室の壁に貼られている)

 『Jurnal』で、書きたくても綴りが分からない単語に出くわした時、子供達はこのポケットの中から単語カードを取り出して、自分の席に持って行って、見ながら『Jurnal』に書き写すのである。当初、単語を書き写すなんて、と思ったが、まあ、それもありかなって思うようになった。漢字だってお手本をなぞったりして練習するわけだし、こうしてスペルのルールが必然的に身についていくものなのかもしれない。

 同じ要領で、季節もの単語ラックもある。こちらは毎月変わる。個人的には意外と知らない単語が多かった。写真のもの、見えづらいだろうか。上に”May Words”と書いてあって、下にflowers とかMother's Dayとかの単語がある。ハロウイーンの時は例えば下の単語にskeleton(骸骨)とかmummy(ミイラ)が掲げられたりするのだが・・・。他に先に覚えるべき単語があるような気もしないではなかったが。(というか、した)

 こうして、絵日記を書く日々が、一年間続くことになる。

2009年5月26日火曜日

学校のレベルってやっぱり気になるよね

 ここで、アメリカの公立小学校について少し説明しておきたい。

 ご存知のように、アメリカの公立小学校は地域の教育委員会がある程度の学習内容のガイドラインを決めている(日本のような全国共通の教育基本要領はない)。従って、保護者達は、自分の子供を少しでも良い教育委員会が管轄する学校に通わせようと奮闘するのである。
 もちろん、知人からの評判や学校のホームページを参考にしたりするのだが、ここで威力を発揮するのが不動産屋の情報である。基本的に住宅の相場が学区の良し悪しによって決まるので、不動産屋の提示するデータは信憑性がないといけない。参考までに、不動産会社が発行している資料に下のようなものがある。http://www.mccormacks.com/content/view/ 

 リンクのものは、少し古いバージョンだが、学校の”相場”が分かる。例えばこの資料で、とある小学校2年生の算数の欄に99とあるとすると、その学校に通う2年生の子供の算数の成績が、その州全ての小学2年生の算数の成績の中で99%以上の良い成績を収めているということになる。つまり、その学校のアニュアル・レポート(その学校の一年間の情報。生徒数や生徒の成績、教員数、教員のサラリーなど)では分からないその学校の州内での立ち位置を確認することが出来るのだ。
 この資料では、学校が教育委員会ごとにリストアップされているので、その教育委員会が管轄しているどの小学のどの学年のどの学科も90以上あるとなると、その教育委員会は”すげぇ~”ということになり、その分、教育方針も学習要領も先生も質が良いはずだと推測することが出来るのだ。そうして、この教育委員会が管轄している範囲の住宅は必然的に相場が高くなるというわけである。

 因みに娘の通う小学校は、カリフォルニア州で、80後半から100の間にどの学年のどの学科も属しているので、学力のある学校だということが出来るだろう。
 
 上述の学校が公開しているアニュアル・レポートだが、このレポート内でもう一つ注目したいのは、人種の比率をデータ化したページである。一般的に、学力のある学校を探そうとすると、アジア系が多くなってしまうのだが。せっかく渡米したのだからと、欧米人比率の多い学校を選ぼうという時なども、必ず目を通したい資料である。

 娘の通う小学校は、実に多人種で、欧米系が全校生徒の約半数。そのほかの半数を、さまざまな人種が占めている。一番多い外国人種は恐らくインド系ではないだろうか。日本人は全校生徒約600人中10人程度と、極めて少数民族だと言えるだろう。この間も、娘のクラスに全く英語が分からないロシアからの女の子が転校してきた。
 このように多人種の学校では、英語を母国語としない子供達への英語補修プログラム(ESL:English as a Second Language)が充実している。たいては不定期に自分のクラスを抜け出してこのESLクラスに30分ほど参加したり(1対1,2などの少人数制である)、放課後にやっている学校もあったりする。そして、毎年、学年初に受けるESLの英語学力レベルテストや、去年と今年の担任の先生からのコメントを参考にして、その子が今年もESLのクラスを受ける必要があるかどうか、教育委員会で判断される。

 それから、クラス編成だが、学年をまたいだ混合クラスというものもある。アメリカの小学校はKinder Gardenから始まり、1st Grade, 2nd Grade~5th Gradeまでだというのはご存知だろう。その中で、Kinder と1stをくっつけたK1クラスや、1st と2ndをくっつけたクラスなどがある。
 娘も幸いK1クラスに組み込まれた。"幸い”としたのは、結果として良かったと思ったからである。クラスの中では1stの子とKの子が面倒を見たり見られたりと助け合いの精神も生まれているようだ。
 学習面では、結局熟度別にグループ分けされるので、1stの子の学習がKがいるせいで足を引っ張られることもない。Kで出来る子は、1stのテキストをやったりするし、熟度別グループでは、Kの子が1stの子より上のグループにいるということも珍しくない。そこらへんは先生も生徒もドライである。また算数の時間だけ、1stとKの子は分かれて、1stは他の混合クラスの1stの子と合体して一緒に授業を受けたりする。
 何よりも、混合クラスの子は、Field Trip(遠足)も学校の行事もKの分も1stの分もダブルで参加するので楽しそう。
 噂では、混合クラスの先生の方が優秀という話もあるので、混合クラスだというと、大抵、お母さん達に”良かったね”と言われる。低学年の一クラスの人数は約20人前後(教育委員会による)。娘のクラスも、出入りがあるものの、たいていKが10人、1st 10人の半々に保たれている。

 
アメリカの小学校、少しイメージ沸いただろうか。今後の投稿は、これらを前提に読み進めていただければと思う。

2009年5月24日日曜日

リーディング恐るべし(1年生9月)

 新学期が始まってからというもの、リーディングがものすごい勢いで進められる。前回の手作り冊子なんて可愛いもんで(なぜかいつまでも手作り冊子だけは可愛いもんなのだが)、それとは別にとにかくリーディング、リーディングと先生は連呼し出す。

 まず、毎朝登校すると先生は絵本を読んでくれる。学校でちょっとした空き時間があると、ボランティアのお母さんが率先して絵本を読んでくれる。教室の中にちょっとした読書スペースがあり(本が沢山置いてあって、大きなクッションがやたらと置いてある)、やらなければならない課題が早く済んだ子は、そこに行って本でも読んでろ、と言われる。宿題も、何でもいいから本を15分読め、というものである。

 そこで、学校が始まってひと月も経たないうちに、ブック・フェアというのが始まる。これは、学校に本屋さんがくるような感じだが、定価よりも安く買えるのだ。そして、売り上げの何%かは学校側に渡る仕組みになっている。なにせ州から学校への予算が年々カットされていて、学校はお金がないのだ。
 それから、上述のようにクラスの中で本を沢山読むので、クラスへのプレゼントという形で、そのブック・フェアで自分の本を買うのと同時に、クラスのために本を買って寄付する子が多い。担任の先生もそれを前提に、"wishing list"といって、自分のクラスで欲しい本をあらかじめ箇条書きにして、ブック・フェアの会場に大々的に貼り出しているのだ。娘も初めてということもあり、もれなくクラスに本を2冊ほどプレゼントした。
  担任の先生にビックハグされた。

 このブック・フェアだが、はっきり言って、SCHOLASTIC社の独占販売といっていい。何はともあれ、学習用書籍といえば、アメリカではほとんど SCHOLASTIC なので、当然といえば当然なのだが。日本でもよく目にしていた SCHOLASTIC だが、これ程までにアメリカで”最強”だったとは!

 ちなみに、アメリカでシリーズ物でほとんどの子が読んでいるのは『Majic Tree House』『Junie B.Jones』である。2,3年生あたりでは『Romana』ではないだろうか。これらは、Chapter Boods と呼ばれていて、一冊の本の中にいくつかの章がある。もちろん、一冊の本で一つの物語だが、その中でいくつかの章に分かれているとやはり読みやすいようである。
  ただし、この3シリーズとも、簡単なものだとは言えない。つまり1年生とはいえ、アメリカに来たばかりの日本の子供がすぐに読めるものではない。それでも渡米して、毎晩、地道に 『Majic Tree House』 の読み聞かせをし、全シリーズ読み終えた頃にはもう現地の子供たちと同等かそれ以上にリーディングが得意になっていたと話す日本人の親御さんが何人かいた。
  日本人は本当に教育熱心である。そして、やはり先生の言うとおり、リーディング恐るべし、なのである。



 余談だが、ブック・フェアで思ったのは、意外と皆、いわゆるベストセラーを読んでいないな、と。日本にいると、英語の絵本でもまずはベストセラーから、と思ってしまうのだが。
   ベストセラーというと、何だろう・・・。エリック・カールの本や『ぞうのババール』『ちいさいおうち』とかだろうか。これらは日本で英語版もよみ見かけるが、こっちではそんなに見かけない。
 あ、The Cat in the Hat 』などのDr. Seuss(作者)の本は有名である。学校ではDr. Seussの日というのもあるくらい、皆大好きである。アメリカでベストセラーというとこっちなのかもしれないなぁ。そういえば、Curious George (邦題:『おさるのジョージ』)のシリーズもよく見かけるかな。 
 アメリカではやは面白おかしい方がウケるのだろうか・・・。

2009年5月21日木曜日

手作り小冊子(1年生8月)

  ご存知のように、アメリカの小学校には教科書がない。全て、先生が選んだプリントや手作りの冊子が教材になる。
 
 学校が始まってすぐ、Back to School Day という日があり、夕方、子供たち抜きで親御さんだけクラスに集められ、担任の先生から一年間の教育方針や目標などの説明を受けるのだ。先生は恐らくここで自ら決めた目標に沿って、独自のルートを駆使して教材をかき集めていくことになるのだと思われる。

年生になって初めて与えられたのは『Colors』という冊子である。もちろん手作りだ。各ページには色の単語が書いてあり、上に雲みたいな枠があって、子供たちがその単語である色を枠に塗り入れられるようになっている。つまり、色とその色を表す単語の一致である。既に分かってる子などは、ものの一分で終わる作業である。
まずは”色”の単語を読めるようにしておきたい、という先生の意図が働いているわけなのだが、これは、今後の学習で色分けして何かするという作業が増えていくからなのである。

 8月はこの『Colors』という冊子以外に 『See the School』 という冊子が配られた。『See the School』は、学校関係者についての単語を学ばせるためのものある。ただし、単語の前に、 ”See the ~”というのがつく。ある程度の単語群を一気に覚えさせたい時、よくこういう手法を使う。 "I see~”とか、 ”I spy~” などもよく見かける。こうすると、どうやら子供達はリズムに乗って読み上げることが出来る上に、単語でなく文章を読むという学習に突入することが出来るのだ。

 ちなみに『See the School』の内容は、ページ順に ”See the teacher."  "See the secretary" (事務員)、 ”See the librarian."  、そして ”See the principal" (校長先生) の4ページである。やはり、まず実用的な単語から覚えさせるようである。


 このような手作り小冊子は、今後も定期的に出てくる。
  先生は教材を探すのに忙しいので、先生が探し出してきた素材をクラスの人数分コピーして製本するのは、私を含め、クラスのボランティアのお母さん達の仕事なのである。

2009年5月20日水曜日

新学期スタート(1年生8月)


 
 まず、新学年のスタートは8月19日(これは学区によって異なる)。

 事前にe-mailにて知らされた番号の教室にいく。すると、そこに担任の先生がいて、いきなり授業が始まる。
 以降、そのクラスは、その教室番号で呼ばれる。 room8 とか、room17 とかいうように。日本みたいに1年1組とか、学年込みで言われることがないので、この教室にいるのは何年生?って感じで全く分からない。同じ学年の教室が固まっているということもない。というのも、担任の先生は、毎年同じ学年を受け持つことが多く、その教室を自分の部屋のように使っちゃうらしいのだ。例えばroom9の主(ぬし)はMs.Hadson先生というように。で、Ms.Hadsonの教室は階段を上った右端ね、というように。よく見ると、教室の中もその先生の好み一色に染まっていたりする。

 さて、授業だが、まず何から勉強するかというと、やはりアルファベットである。うわさで、小学一年生(1st Grade)は、もうアルファベットなど当たり前、皆いきなり文章を書き始められると聞いていたのだが、そんなことはなかった。ひたすら一日一アルファベットである。それもA4の大きな用紙に、例えば、Ff と書いてあって、それをなぞるのだ。rainbow writingというのだが、一度なぞるだけじゃ足りないから、先生はたくさんなぞってもらいたくて、で、 「7回なぞってね」 、ということで、好きなクレヨンの色7色を選ばせてrainbow writingさせるのである。「字の横の空欄には、F にちなんだ絵を描いてもいいよ」といった具合に。

  こうして、みんなめでたく7回なぞることになる。もちろん、描き順、画数関係なしなので、ほとんどの子はを2画で書く。でも、それでいいらしい・・・。