2010年3月6日土曜日

インプットとアウトプットの時期を間違ってはいけない

 少し立ち止まって、日本にいた時のバイリンガル子育てについて振り返ってみたい。
 
 まず、娘の出産と同時に仕事を辞めたので、その退職金をはたいてディズニー・ワールド オブ イングリッシュ(DWE) のフルセットを購入。生後一ヶ月からせっせと英語の種を蒔いていた。手始めにプレイ・アロングのCDを聞かせ、徐々にシング・アロング→ ビデオといった具合に。

 その他、使用した教材は数知れず。例えば、
 ・CTP (当時はまだカセット)
 ・オックスフォード・リーディング・ツリー
 ・七田のかな絵ちゃん(英単語フラッシュカード)
 ・七田のさわこの一日 (英語版CD+テキスト+暗誦カード)
 ・七田のパルキッズ(CD付き絵本暗誦)
 ・音声つき英語絵本(Lady bird 社のRead it yourself シリーズetc.)
 などなど。

 その中で、実は私が一番好きだったのはDWE のそれも Listen Along だ。
 これは、Sing Along を購入すればついてくるはずなのだが、朝に聞く歌のCDと夜寝る前に聞くCDの2枚セットがある。その中で、夜のCD(Bedtime Songs) の
『By and By』『Star Light , Star Bright』
が大好きである。この二曲を聴くと、娘がまだ幼児だった頃、育児に奮闘していた日々が一気に蘇り、目頭が熱くなってくる。本当に、あの頃の自分が愛おしい。

 えっ?好き嫌いじゃなくて、効果があった教材を挙げてくれ?はい、そうすべきだと思んだが、実は色々やったので、どれが今の彼女を形作っているのかさっぱり分からない。でも、やはり桁違いに高かったDWEに軍配をあげることにしよう。ただ、DWEにはあまり日常会話的な要素がないので、それを補うために、七田の『さわこの一日』などを暗誦させていた。

 日本では、上記のような教材を毎日かけ流し ていたわけだが、一番気になったのは、やはり、英語が口から出て来ないということである。同じような悩みを持つ親御さんも多いのではないだろうか。

 娘が幼稚園年中の頃、英語塾にも通うようになった。塾と書いたのは、英会話というより英検を目指して英文も読ませるような子ども英語教室だったからである。月に一回だけネイティブの先生との会話レッスンを受けられたが、普段の週一のクラスは日本人の先生だったし”お勉強”だった。スピーキングが気になっていたわりには、真逆の方向に走ってしまったわけだ。

 しかし、やはり週一のネイティブ・レッスンでちまちま英会話していてもしょうがない、という思いがあったので、まあいいっか、と思った。そのうち、英語も口から出てくるだろうと思った。が、しかし、これがなかなか出て来ない。英検は、その塾のお陰で年中で四級を取れていた。なので、英語を知らないということではない。しかし、自分のやり方にすごく自信がなかった。絵本の暗誦はしていたが、娘が自ら英語を話す出すことはまずなかった

 
 そうこうしているうちに、アメリカに引っ越しすることになった。
 来た時は、まだ現地の小学校は夏季休暇中。学校が始まるまで二週間あった。お友達もいないし、行くところと言えば公園とスーパーだけ。
 そんな時に、スーパーの中でちょっとカートが邪魔になって通してもらいたい時に、私が”Excuse us"といって通してもらったら、その後、娘がそれを連発するようになった。別に混んでいなくて単に人とすれ違うだけでも”Excuse us"。独りの時も”Excuse us"。しかも声が大きい。もうせめて”Excuse me"応用をしてくれ、と思った。日本での英語育児の日々を思い出しては、こんなはずでは、とわなわなしていた。

 そうして迎えた学校初日。
 娘をクラスに送り届け、笑顔で手を振った後、教室の扉がパタン!と閉められた。心配なので、小窓から中の様子を覗いていたら、先生を囲んで、子供達20人ほどがカーペットの上にあぐらをかいて座っていた。その中から一本の手がピーンと挙がっていた。その手は、・・・わが子の手ではないか!「えー!何を言いだすの~?」 と思った瞬間、子供達が先生に引率されてゾロゾロ扉の方に向かって歩いてきた。(ここで私は光の速さで柱の陰に移動)
 教室から出てきた先生と生徒達は、廊下を先へ先へと歩いて行ってしまった。ぬき足さし足で後をついていくのも何だか格好悪いので、すごすごとその場を離れたのだが、後で娘に聞いたところ、手を挙げて”May I go to the bathroom?" と言ったらしい。そこで先生が”それはいいアイディアね”とばかりに、皆でまずトイレの場所を確認しに行ったとのことである。うん、一応、つかみはオッケー。

 実は渡米の際に、航空会社からの赴任者サービスの一貫で、KOMET (米国在住の日本人家族をサポートしている団体)というところが出している 『HIROSHI goes to American School』 というDVD付きテキストを頂いたのだが、娘がそれをよく観ていたのである。これは、Hiroshi という初めてアメリカの学校に入ることになった男の子を主人公に据えて、学校で必要なフレーズなどを順に教えてくれる教材である。その冒頭初っぱなに”May I go to the bathroom?" が出てくるわけである。うん、確かに一番重要なフレーズだ。こっちでは皆、休み時間じゃなくて、わざわざ授業中にトイレに行くからね。
 
 
 娘はその後、学校が始まってからは英語がどんどん口から出てきた。
 おもしろいのは、簡単な文章から順に英語が出てくるわけではないということだ。学校が始まって一週間も経たないある日、娘とまたスーパーにいてレジで会計してもらっていた時、娘が店員の胸ポケットにささっているかわいいペンを見て、”I wish I could have that pen." (そのベン、欲しいな)と言ったのである。「ひぇ~、I wish I could 構文だー!」と思って財布を持つ手が止まったのを覚えている。そして、その店員は驚いたことに快くそのペンを娘にくれたのである。(言ってみるもんだ)
 
 思えば、”Excuse us" の時から、娘はしゃべりたくてたまらなかったのだと思う。自分の中に溜まっていた英語の数々が飽和状態で 英語をしゃべっていい環境に置かれた途端、爆発しそうになっていたのではないだろうか。どこかを突かれれば、その引き出しが開いて言葉が出てくる状態で、どの引き出しが突かれるか分からないので、どういう言葉が出てくるか予測がつかない。いずれにせよ、難易度順、頻出度順ではないのである。
 
 日本にいた頃は、英語育児してるのがとても特別なことに思えたり、英語より母国語だろ!と意見されたりもした中、三食同様、来る日も来る日もひたすら英語を淡々とごり押しをしてきた甲斐があったと思った。(淡々とごり押しとは、なかなか新鮮なマッチング)

 お陰でクラスの担任に、「アメリカに来たばかりなのに、どうしてこんなに英語が出来るのぉ?彼女は・・・彼女は・・・(肩をすくめる)普通じゃないわ!」 と言われた時も、「褒めるなら私を褒めて下さい(It's me to be highly praised!) 」 と自信を持って言えた。
 因みに、娘は普通である。かなりおしゃべりだということを除けば普通の子である。普通の子が普通に日本で英語のシャワーを毎日あびていただけである。

 
 最後に、こんな言葉を吐いておきたい。
 それは、アメリカに来てつくづく思ったのだが、こんなにも英語を普通に話している子ども達が沢山いるのか、ということだ。何を当たり前のことを、と言われるかもしれない。しかし、日本にいるとその事実を忘れていることが多い。でも実際それを目の当たりにすると、将来、自分の子どもがこんなにも沢山の人たちと自由自在にコミュニケーションが取れないなんて、許せない!と思えてくるのである。

 英語は大人になってからやればいいじゃないか、という考えもある。が、しかし、大人になってからは、今まで自分が培ってきたものを総動員して、世の中の人々のために役に立つことを考え実践する時期である。つまり、アウトプットの時期である。そんな時になってから道具の一つである英語をインプットしていたのでは遅すぎるのではないだろうか。この大事な時期に英語に時間を割くのは実にもったいない。(私が実はそのもったいない)

 何が言いたいかというと、英語育児はやはり大事なんじゃないの?ってことである。そして改めてそれに心を尽くしている親御さんや教育者達は偉大だ思うわけである。

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5 件のコメント:

  1. ちゃあびい2010年3月10日 9:28

    はじめまして!
    はじめてこちらに来たのですが、アメリカの小学校の実際の授業についてよく分かり、読んでいて凄く参考になりました。
    これからも、ブログ楽しみにしています♪

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  2. ちゃあぴいさん

    はじめまして。
    励ましのコメント、とても嬉しかったです。
    見切り発車で始めたブログで、こんなんでいいのかと不安も多いのですが、少し勇気を貰えたような気がします。
    書き出すとついつい長文になってしまって、時々読むのへピーだと思いますが、良かったらまた遊びに来てください。
    有難うございました!

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  3. ノンチェリー2010年3月11日 22:35

    ちゃあびいさんに薦めてもらって遊びに来ました!
    我が家も英語育児をしていて、使用教材がほとんど一緒です。
    そして暗唱もするし、簡単な絵本も読めるのに英語を口にしないのも一緒です><
    こちらに遊びに来て、淡々とインプットし暗唱するやり方で間違いないんだと自信回復できました。
    アメリカの小学校についても、日本の教育が画一的だということがわかりとても勉強になります。
    また遊びに来ますね♪

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  4. ノンチェリーさん

    はじめまして。
    コメ、有難うございます。
    ちゃあぴいさんのご紹介とのこと、嬉しさ倍増です。
    お子さん、暗誦もするのに…って、まさに日本にいた時の我が子と同じですね。
    でも今振り返って思うのは、日本語しかない環境の中なのに、英語の絵本を読んだり暗誦したりって、それだけでも凄いことだと思うのです。もっともっと褒めて認めて尊敬してあげなくちゃいけなかったなって反省しています。

    アメリカの小学校はいい面も沢山ありますが、負の面もあるので、今後、それについても上手く伝わるように書いていけたらいいなと思います。

    また覗いてくれたら嬉しいです。
    有難うございました。

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